JR西強制起訴 抱える難問 同じ証拠で異なる立証 被害者多数、どう意見反映(産経新聞)

 経営トップの刑事責任が法廷で裁かれる。JR福知山線脱線事故で23日、JR西日本の歴代3社長が強制起訴された。「真相究明につながる」と遺族は公判に熱い視線を注ぐ。一方、起訴を見送った神戸地検からは「証拠がない」と公判維持の困難さを指摘する声も聞かれる。乗客106人の命を奪ったJR史上最悪の事故から25日で5年。大惨事を引き起こした巨大組織の病巣にどこまで迫れるか−。

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 民意を反映した強制起訴によって検察官役を務める指定弁護士の活動は今後、公判の準備に移る。しかし、起訴議決制度における指定弁護士の負担の重さが早くも課題として浮き上がっている。

 ■前社長との兼ね合い

 「3社長を起訴できる証拠は一切ない。有罪となる可能性は極めて低い」。検察審査会の判断とは異なり、「不起訴」の結論を導いた神戸地検の幹部はそう指摘する。

 指定弁護士らは、起訴までの時間が短期間だったこともあり、3社長の事情聴取を行うなど補充捜査もできなかった。

 すでに地検によって起訴されている、前社長の山崎正夫被告(66)=公判前整理手続中=の公判との兼ね合いも難しい問題として浮上しそうだ。

 地検は、事故現場が急カーブに付け替えられた平成8年に鉄道本部長を務めていた山崎被告の責任と立場を重視。当時の「安全対策の実質的な最高責任者で、事故を回避できた唯一の人物」と位置づけた。

 これに対し、指定弁護士による今回の起訴は、「社長が最高責任者で、安全対策を整備する高度の義務を負っていた」という前提に立っている。

 証拠はほぼ同一にもかかわらず、指定弁護士と検察官は異なる立証を展開していくことになる。

 会見した指定弁護士らは、立証について「『ひそかな自信を持っている』に留めてください」と若干の弱気ものぞかせた。

 ■大事件は想定外?

 検察審査会の民意に押された起訴だけに、被害者の声をどうくみ取るかも課題となりそう。法廷では「被害者参加制度」の利用で、被告という立場になった3社長と遺族や負傷者が対峙(たいじ)する場面が出てくることも予想される。

 指定弁護士も事故の被害者から制度適用を求められた場合、応じる考えを示している。しかし、多数に上る被害者の声をすべて法廷に持ち込むことは難しい。

 制度とは別に、被害者が証人として出廷することについて指定弁護士は、「考えていない」とした。

 公判の長期化も予想される課題だ。3社長は起訴内容を否認するとみられ、その場合、公判前整理手続きに要する期間も含めて判決までは相当の年数がかかる見通しだ。

 指定弁護士の1人は「このような大事件は、制度設計の想定外なのでは。制度の運用を考えていかないと、指定弁護士の引き受け手がだれもいなくなる」と懸念を示している。

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 ■起訴状骨子

 ▽3被告は、鉄道運行の安全を確立し、重大事故の防止対策を指揮すべき業務に従事していた

 ▽平成8年に現場が急カーブに変更され、直前にJR函館線のカーブで脱線事故があったことを認識していた

 ▽運転士が適切にブレーキ操作しなければ現場で脱線事故が起きる危険性を予見できた

 ▽自動列車停止装置(ATS)の整備を指示すべき注意義務があったのに怠った

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【用語解説】JR福知山線脱線事故

 平成17年4月25日午前9時18分ごろ、兵庫県尼崎市のJR福知山線カーブで快速電車(7両編成)が脱線、マンションに衝突し乗客106人と運転士が死亡、562人が重軽傷を負った。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(当時)の最終報告書では、直前の駅でオーバーランし、懲罰的な「日勤教育」を恐れた運転士が、車掌の無線連絡に気を取られ、制限速度70キロを大きく超える116キロでカーブに進入したと指摘した。カーブには自動列車停止装置(ATS)がなかった。

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